採点すると、数学ⅠAの後半に空欄が並んでいる。でも解説を読むと、「これなら解けたはず」と思う問題もある。
そんなとき、すべてを「数学が苦手だから」で片づけないでください。知識が足りないのか、問題文を整理できないのか、時間の使い方で損をしているのか。原因によって、次に取り組む勉強は変わります。
共通テスト数学ⅠAの対策は、間違えた問題を増やすことではなく、止まった理由を見つけて直すことから始めます。
この記事では、2027年度の共通テストを受ける方に向けて、数学ⅠAの勉強法を解説します。理系・文系のどちらにも使える内容です。
まず、解説を見る前に10分だけ続きを解いてみる
時間が足りなかった演習は、終了時点の答案を残したうえで、別の色のペンで続きを解いてみてください。まず10分ほど延長すると、時間内の答案との違いを確認できます。
これは本番の練習とは別に行う、原因確認のための作業です。延長して解けた点数を、本来の得点に足すわけではありません。
| 延長してみた結果 | 確認したい原因 | 次に行うこと |
|---|---|---|
| 自力で解けた | 読む・考える・計算する時間のどこが長いか | 大問別に時間を測り、手順と解く順番を見直す |
| 公式は分かるが式にできない | 条件の整理や、公式の使い分けで止まっていないか | 文章を図・表・式に置き換える練習をする |
| 何を使うか分からない | 定義や基本事項が抜けていないか | 教科書の例題や基本問題に戻る |
延長しても解けなかった問題を、計算速度だけで解決しようとしても難しいものです。反対に、時間さえあれば解ける人が、基礎問題集を最初から全部やり直す必要があるとも限りません。
2027年度の数学ⅠAは、確率も図形も対策が必要
共通テストの正式な科目名は『数学Ⅰ,数学A』です。2027年度は、試験時間70分、配点100点で実施されます。
- 数学Ⅰ:数と式、図形と計量、二次関数、データの分析を学習する。
- 数学A:図形の性質、場合の数と確率の両方に取り組む。
- 選択の扱い:数学Aの上記2項目は、好きなほうだけを選ぶ形式ではない。
旧課程の教材や古い解説には、数学Aの問題を選択する前提のものがあります。「図形を避けて、別の分野で点を取る」という方針を、そのまま現在の試験に当てはめないようにしましょう。
古い問題も分野の練習には使えます。ただし、70分の通し演習には、現在の範囲と形式に対応した問題を選んでください。
長い問題文は、一度に全部覚えようとしない
会話文や実生活の設定がある問題を読むと、「文章が長くて無理」と感じることがあります。
そこで意識したいのは、文章を読みながら、計算に使う情報を外に出すことです。頭の中だけで条件を抱え込むと、途中で読み直す回数が増えてしまいます。
- 何を求めるか:最大値なのか、確率なのか、長さなのかを確認する。
- 何が決まっているか:範囲・数量・位置関係を、図や短いメモにする。
- 直前の結果を使えるか:前の設問で求めた値や式と、今の問いをつなぐ。
誘導に乗るとは、空欄の形から答えを当てることではありません。「ここまでに分かったことを、次にどう使うか」を追うことです。
復習では、各小問の横に「次の確率を出すために場合の数を求めた」など、役割を一言書いてみてください。計算の列だったものが、つながった手順として見えてきます。
分野別に見る、点を落としやすいところと直し方
二次関数:計算の前に、動ける範囲を見る
平方完成ができても、最大値・最小値を間違えることがあります。その場合は、計算そのものより、定義域とグラフの位置関係を確認します。
確認用のオリジナル例
y=(x-2)2+1、0≦x≦1のとき、最小値はいくつでしょうか。
頂点のy座標は1ですが、頂点のx=2は指定された範囲の外です。この範囲ではx=1のときに最小となり、最小値は2です。
「平方完成したら頂点を見る」で止まらず、「頂点は範囲内にあるか」まで確認します。
復習では、定義域、軸、端点を簡単なグラフに書き込みましょう。文字を含む問題でも、何の位置関係によって場合分けするのかを整理しやすくなります。
場合の数と確率:分母と分子で、数え方をそろえる
確率で迷ったら、いきなり順列・組合せの式を探す前に、「何を一つの場合として数えるか」を決めます。
- 順序:取り出す順番を区別するのか、しないのか。
- 試行の条件:取り出したものを戻すのか、戻さないのか。
- 条件付きの範囲:追加の情報によって、考える対象が絞られていないか。
条件付き確率を、小さな例で確認
1〜6の数字が1枚ずつ書かれたカードから、どのカードも同じ確率で1枚を引きます。「数字は4以上だった」と分かっているとき、偶数である確率を考えます。
考える対象は4・5・6の3枚です。そのうち偶数は4・6の2枚なので、答えは2/3です。
最初の6枚をそのまま分母にするのではなく、分かっている条件で対象を絞ります。
これは考え方を確かめるための基礎例です。複雑な問題でも、樹形図や表で小さく整理してから式を作ると、重複や数え漏れを確認できます。
図形:見た目ではなく、使える条件を図に書く
図形問題では、「この角は直角に見える」「この点は真ん中に見える」といった印象で進めないことが大切です。
長さや角度が問われたら、与えられた条件と、自分で導いた事実を図に書き足します。定理の名前を思い出すだけでなく、使うための条件がそろっているかを見ます。
- 条件を写す:等しい角、辺の比、平行、垂直、円周上の点を示す。
- 関係を探す:相似な三角形や、同じ弧に対する円周角などを確認する。
- 式にする:求める長さや比に結びつく関係だけを取り出す。
解説に補助線が出てきたら、「この線を引くと、どの関係が使えるようになるか」まで確かめてください。線の位置だけを覚えるより、別の問題に応用しやすくなります。
データの分析:用語を覚えたら、変化を説明する
平均値、中央値、分散、標準偏差などは、計算方法に加えて「何を表す数か」を整理します。
例えば、すべてのデータに5を加えると平均値は5増えますが、散らばり方は変わらないため、標準偏差は変わりません。
こうした変化を説明できるか確かめると、公式だけを覚えている状態に気づけます。箱ひげ図や散布図も、図から分かることと、分からないことを区別して読みます。
数学Ⅰの「仮説検定の考え方」も確認しましょう。数学Bの「統計的な推測」と混同せず、数学Ⅰの教科書で扱う内容から整理してください。
70分の時間配分は、自分の演習記録から決める
数学ⅠAの時間配分に、全員に合う一つの正解はありません。得意分野だけでなく、その回の問題の重さによっても変わります。
最初は「各大問に何分かかったか」「どの小問で長く止まったか」を記録してください。その結果から、いったん先へ進む時刻を決めます。
時間配分の試し方
一例として、最初の55〜60分で全大問に一度触れ、残り10〜15分で保留した問題やマークを確認する進め方があります。
これは目安です。演習結果を見て、各大問への配分や見直し時間を調整してください。全問をこの時間内に解き切るという意味ではありません。
「あと少し」を続ける前に確認したいこと
一問に時間をかけすぎると、後ろにある解ける問題に手が届かなくなります。粘るかどうかは、今の手の動きを見て判断します。
- 方針が決まり、計算が進んでいる:残り時間を見ながら続ける。
- 同じ文章を読み直すだけになっている:必要な条件を一度整理し、それでも進まなければ保留する。
- 一つ前の答えが出ずに止まっている:後続の設問に独立して解ける部分がないか確認する。
保留するときは問題冊子に印を残し、戻る場所を明確にします。解答順を変えた場合は、マーク欄のずれにも注意してください。
6割を目指す人と、8割を目指す人では復習の重点が違う
目標点が違えば、優先したい練習も変わります。ただし、点数だけで機械的に分けず、実際の答案を見て判断します。
まず6割を目指すなら、手がつかない分野を減らす
基本事項の抜けが多い段階では、難しい最終設問に時間をかけるより、各分野の基本問題を自力で進められる状態を目指します。
確率や図形を分野ごと諦めるのではなく、条件が単純な問題から戻りましょう。基本問題で使えた考え方を、共通テスト形式の小問でも使えるか確認します。
8割以上を目指すなら、失点の再発を減らす
基礎ができている人は、条件の読み落とし、場合分けの漏れ、処理の遅さなど、毎回似た形で失点していないかを確認します。
難問を追加する前に、取れるはずの問題を安定して取る練習をします。そのうえで、後半の設問にも取り組む時間を作っていきます。
解き直しは、答えを覚えているうちに終わらせない
解説を読んだ直後は、誰でも手順を再現しやすくなります。その一回だけでは、初見の問題で使えるようになったかは分かりません。
次の3段階で確かめると、「分かったつもり」を減らせます。
- その日:解説を閉じ、最初の条件整理から自力で解き直す。
- 数日後:なぜその式や場合分けを使うのか、理由も説明しながら解く。
- 別の問題:数字や条件が変わった類題に、時間を測って取り組む。
記録は長くなくて構いません。「定義域を見ずに頂点を答えた」「条件付きなのに全体を分母にした」など、次に注意する行動が分かる一文を残します。
過去問の年数を増やすことより、前回の失点原因が一つ直ったかを確認する。その積み重ねが、本番で使える解き方につながります。
数学ⅠAだけ、オンライン個別指導で見てもらうこともできます
「途中式は合っていると思うのに、なぜか答えが違う」「何度解説を読んでも、最初の一手を自分で選べない」。こうした部分は、自分一人では原因を見つけにくいことがあります。
PingPointでは、双方向オンラインの個別指導で、答案と考え方を一緒に確認します。共通テスト数学ⅠAを重点的に対策したい方もご相談いただけます。
- 答案を共有:授業前にLINEなどで、解いた問題と途中式、質問箇所を送る。
- 判断を確認:講師が「なぜこの式にしたか」「どこから分からなくなったか」を聞き、戻るべき内容を絞る。
- 自力で再現:説明を聞くだけで終わらず、解き直しや類題で使えるか確かめる。
例えば、確率の計算が違うときも、数え漏れなのか、順序の扱いなのか、条件付き確率の理解なのかで、指導する内容を変えます。
今の塾を続けながら、数学1科目だけ補強することも可能です。詳しくはPingPointのコース・授業内容をご覧ください。
数学ⅠAの答案から、次にやることを整理しませんか
模試や過去問の答案には、点数だけでは分からない課題が残っています。時間不足、確率、図形など、気になっているところをお知らせください。
参考・公式情報
情報確認日:2026年9月24日。試験制度は2027年度の公表情報をもとに記載しています。本文中の確認問題は説明用に作成したオリジナル例です。学習手順と時間配分は、理解度や目標に応じて調整してください。
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