2026.09.01 PingPoint
大学受験生は夏休み明けに過去問を1年分解け
過去問を始める時期について、はっきりした基準を持っている受験生は多くありません。
早すぎると解けなくて自信をなくす。遅すぎると対策が間に合わない。この不安から、なんとなく先延ばしにしているうちに11月になっている。毎年見かける状況です。
結論を先に書けば、9月中に1年分だけ解いておくのが最も損の少ない選択です。理由を順に説明します。
9月に1年分だけ解く
この時期の過去問は、点数を取るために解くものではありません。敵を知るために解きます。
1年分を時間を計って解くと、次のことが分かります。
・大問がいくつあり、それぞれ何を問うているか
・時間は足りるのか、余るのか
・記述の量はどれくらいか
・自分の得意分野がどれだけ出るか
・合格最低点との差はどれくらいか
これが分かると、10月以降の勉強の優先順位が決まります。出ない分野に時間を使わずに済み、頻出分野に集中できる。
逆に、この情報がないまま秋を過ごすと、志望校と関係のない演習に時間を使ってしまいます。
点数は気にしないでください。9月に合格点が取れる受験生はほとんどいません。3割でも4割でも構いません。
本格化は10月から
9月に1年分解いたら、いったん止めます。そこで見つかった課題を埋める作業に戻ってください。
本格的に演習を積むのは10月からです。この時期になると、基礎の仕上げがある程度進んでいるはずです。
9月 第一志望を1年分。傾向の把握
10月 第一志望を2、3年分。弱点の洗い出し
11月 併願校にも着手。第一志望も継続
12月 共通テスト利用を出すなら、そちらに一時集中
1月 解いた年度の解き直し。時間配分の最終調整
1月に新しい年度に手を出す受験生がいますが、あまり勧められません。一度解いたものを完璧にするほうが、直前期には効果があります。
何年分やるか
よく聞かれる質問ですが、志望順位によって答えが変わります。
第一志望 5年から10年分
複数回受験できる方式があるなら、その分も含めて。傾向が変わっている場合は古い年度を無理に遡る必要はありません。
第二・第三志望 3年分
形式に慣れることが目的です。傾向を掴めれば十分。
押さえの併願校 1、2年分
出題形式と時間配分の確認だけ。ここに時間をかけすぎないでください。
注意したいのは、年数を目標にしないことです。「10年分やった」という事実に意味はありません。
3年分を丁寧に分析した受験生のほうが、10年分を解きっぱなしにした受験生より、はるかに得点は伸びます。
解いた後にやること
過去問の価値は、解いた後の作業で決まります。ここを飛ばすと、ただの模擬試験になってしまう。
最低限、次の3つはやってください。
1 合格最低点と比べる
何点足りないのかを数字で出します。あと何点必要かが分かれば、どの大問で稼ぐかを考えられます。
2 失点を分類する
知らなかったのか、知っていたのに解けなかったのか、時間が足りなかったのか。この3つは対策がまったく違います。
3 次にやることを決める
分析して終わりでは意味がありません。「英語の第3問で毎回時間が足りないから、速読の練習をする」という形まで落としてください。
この作業に、解く時間と同じくらいかけて構いません。1年分を解いて分析するのに3時間かかるなら、それが正しい使い方です。
科目ごとに分けてもいい
通しで解く時間が取れないという相談をよく受けます。平日に3時間確保するのは、たしかに難しい。
その場合、科目ごとに分けて解いて構いません。今日は英語だけ、明日は国語だけ、という形です。
ただし条件があります。科目ごとの制限時間は必ず守ってください。英語60分なら60分で切る。ここを緩めると、演習の意味がなくなります。
通しで解くのは、11月以降に何回か経験しておけば十分です。連続して3科目解く体力と集中力は、本番前に一度は確認しておきたいところです。
早く始めすぎない
逆のパターンにも触れておきます。
基礎がまったく固まっていない段階で過去問に手を出すと、解けなかった理由が分からないという状態になります。
知識が足りないのか、解き方を知らないのか、応用ができないのか。切り分けができないと、分析にならない。ただ点数が低いという事実だけが残ります。
目安として、基礎的な参考書を一通り終えているかどうか。ここが判断の分かれ目です。
まだなら、9月の1年分だけ解いて傾向を掴み、あとは基礎の仕上げに戻ってください。本格的な演習は基礎が固まってからです。
赤本と青本
教材についても触れておきます。
一般に赤本と呼ばれるものは、収録年数が多く、大学の情報も載っています。多くの大学を網羅しているのが強みです。
一方、予備校が出している問題集は、解説が詳しい傾向があります。ただし対応している大学は限られます。
選び方としては、解説を読んで理解できるかどうかで判断してください。書店で実際に見比べるのが確実です。
なお、解答用紙は必ずコピーして使ってください。本番と同じ大きさで書く経験は、記述式では特に重要になります。何度も解き直すことも考えると、原本に書き込むのは避けたいところです。
点数が取れないとき
秋に過去問を解いて、合格最低点に遠く及ばない。この状況で志望校を諦めてしまう受験生がいます。
ただ、10月の時点で合格点が取れる受験生はごく一部です。多くは1月に入ってから届くようになります。
判断すべきは点数ではなく、失点の中身です。
まだ戦える
時間が足りずに解けなかった問題が多い。知っているのに使えなかった問題が多い。これらは訓練で埋まります。
検討が必要
問題の意味そのものが分からない。解説を読んでも理解できない。この場合は、基礎に戻る時間が必要です。志望校の変更ではなく、まず学習段階の見直しを。
志望校を下げるかどうかは、11月以降の伸びを見てから判断しても遅くありません。
よくある質問
まだ基礎が終わっていません。過去問は先延ばしすべきですか
1年分だけは解いてください。傾向を知らないまま基礎を進めると、志望校に出ない分野に時間を使うことになります。点数は気にしなくて構いません。傾向を掴んだら基礎に戻り、本格的な演習は10月以降にしてください。
何年分やれば十分ですか
第一志望は5年から10年分、併願校は1年から3年分が目安です。ただし年数を目標にしないでください。解きっぱなしの10年分より、分析した3年分のほうが得点につながります。
通しで解く時間が取れません
科目ごとに分けて構いません。ただし各科目の制限時間は必ず守ってください。通しで解くのは11月以降に数回経験しておけば十分です。連続して解く体力の確認という意味があります。
点数が低すぎて落ち込みます
10月の時点で合格点に届く受験生はごく一部です。見るべきは点数ではなく失点の中身で、時間切れや取りこぼしが中心なら訓練で埋まります。解説を読んでも理解できない問題が多い場合は、基礎に戻る時間が必要です。
併願校の過去問はいつから
11月からで間に合います。ただし出願する可能性のある大学は、遅くとも12月までに1年分は解いておいてください。形式を知らずに本番を迎えると、時間配分で失敗します。
過去問は、点数を測るためのものではありません。10月以降に何をやるかを決めるための材料です。
9月のうちに1年分だけ解いて、傾向を掴む。そこから逆算して秋の計画を立てる。この順序だと、無駄な演習が減ります。
まだ手をつけていないなら、今週末にでも1年分。点数は気にせず、時間だけ計って解いてみてください。
過去問の分析をお手伝いします
解いた答案を見せていただければ、失点がどの種類なのかを一緒に整理します。時間切れなのか、知識不足なのか、使い方の問題なのか。原因によって10月以降の進め方が変わります。
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本記事の内容は一般的な傾向にもとづくものであり、必要な対策は受験生の状況により異なります。過去問の収録年数や合格最低点の公表状況は大学により異なります。
2026年9月1日 公開
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