こんにちは。大学受験の個別指導塾PingPointです。
ここ数年、大学入試で急速に広がっている制度に「女子枠」があります。女子だけが出願できる特別な選抜枠で、主に女子比率の低い理工系学部に設けられています。2026年度入試では国公立だけで38大学49学部にまで拡大し、京都大学や大阪大学といったトップ校も名を連ねるようになりました。
ところが指導の現場に立っていると、この制度を「知らない」「名前は聞いたことがあるけれど、どこにどんな枠があるか分からない」という受験生・保護者が驚くほど多い。情報を知っているだけで合格の選択肢がひとつ増える制度です。今回は講師の立場から、女子枠を設ける大学の全一覧と、よく聞かれる疑問への回答をまとめました。
掲載している募集人数・選抜方式は2026年度入試の公表情報をもとにした概数です。大学・学部によって条件が細かく異なり、年度ごとに変更もあります。出願の際は必ず各大学の最新の募集要項で確認してください。
そもそも女子枠とは何か
女子枠とは、大学入試において女子受験生だけが出願できる特別枠の総称です。「女性募集枠」「理工系女子特別入試」「ダイバーシティ推進枠」など、名称は大学によって異なります。
背景には、日本の理工系学部の女子比率が2割前後にとどまり、先進国の中でも最低水準にあるという事情があります。国の政策と産業界の要請が重なり、2023年度入試で4大学・38人だった国立大学の女子枠は、2026年度入試で34大学・736人にまで拡大しました。3年で19倍です。
選抜方式はほぼ総合型選抜か学校推薦型選抜です。一般選抜とは別枠で実施されるため、知っていればチャンスがひとつ増える。それがこの制度の本質です。
【国公立大学】女子枠のある大学一覧(偏差値順・概算)
難関校から順に並べています。偏差値帯はあくまで目安としてご覧ください。
| 大学名 | 学部・学科 | 募集人数 | 選抜方式 | 開始年度・備考 |
|---|---|---|---|---|
| 東京科学大学(旧東京工業大学) | 理学院・工学院・物質理工学院・情報理工学院・生命理工学院・環境社会理工学院 | 計154名 | 総合型・学校推薦型(共通テスト課す) | 2024年度開始。全国最大規模の女子枠。既存の推薦・総合型枠内での振替が中心で、一般選抜枠の純減は限定的とされる。2026年度は物質理工学院などで増員 |
| 京都大学 | 理学部(物理学・数学ほか)、工学部(地球工学・物理工学・電気電子工学・情報学科・理工化学科) | 計約30名 | 総合型(特色入試・女性募集枠。共通テスト課す) | 2026年度新設。旧帝大トップ校の参入で注目度が一気に上昇 |
| 大阪大学 | 基礎工学部(電子物理科学・化学応用科学・システム科学・情報科学) | 計20名 | 学校推薦型(共通テスト課す) | 2026年度新設 |
| 名古屋大学 | 工学部(全7学科)、理学部(特色入試・女性募集枠) | 工学部計29名ほか | 学校推薦型(共通テスト課す) | 工学部は2024年度開始。2026年度に理学部にも拡大 |
| 神戸大学 | システム情報学部 | 15名 | 学校推薦型(共通テスト課す) | 情報系では大規模な枠 |
| 千葉大学 | 情報・データサイエンス学部 | 15名 | 学校推薦型(共通テスト課す) | データサイエンス系の人気学部 |
| 電気通信大学 | 情報理工学域 I類(デザイン思考・データサイエンスプログラム) | 5名 | 学校推薦型(共通テスト免除) | 早期から導入している実績校 |
| 広島大学 | 理学部(数・物理・化学・生物科学・地球惑星システム) | 各学科1〜3名 | 総合型(光り輝き入試。共通テスト課す) | 2026年度新設 |
| 金沢大学 | 理工学域(機械工学類・フロンティア工学類・電子情報通信学類ほか) | 計44名 | 総合型(女子枠特別。共通テスト課す) | 国立では屈指の大きな枠。2026年度にフロンティア工学類などで増員 |
| 埼玉大学 | 工学部(機械・電気電子・情報系など) | 各学科2〜5名 | 学校推薦型(共通テスト課す) | 2026年度に拡充 |
| 新潟大学 | 工学部 | 計25名 | 学校推薦型 I | 機械・電気電子・情報工学科などで募集 |
| 名古屋工業大学 | 工学部(高度工学教育課程の物理工・電気機械・情報工・社会工) | 計28名 | 学校推薦型 I | 工科系の伝統校。導入初期からの実績あり |
| 滋賀大学 | データサイエンス学部 | 20名 | 総合型 I(オンライン講座受講型。共通テスト免除) | 文理融合のデータサイエンス系。文系出身者にも門戸がある点で注目 |
| 茨城大学 | 工学部(機械・電気電子・情報系) | 計15名 | 学校推薦型(共通テスト免除) | |
| 山梨大学 | 工学部(全コース) | 14名 | 学校推薦型 I(女子枠) | 2024年度開始。全コースに2名ずつの枠 |
| 富山大学 | 工学部(電気電子・知能情報・機械工学コース) | 計13名 | 学校推薦型 I(女子特別推薦) | 早期導入校のひとつ |
| 福井大学 | 工学部(機械・システム工学科ほか) | 計25名程度 | 学校推薦型 I・総合型 II | |
| 岩手大学 | 理工学部(複数コース) | 計26名(総合型 I・II 合計) | 総合型(共通テスト免除の型あり) | 2026年度に募集形態を拡充 |
| 秋田大学 | 総合環境理工学部 | 15名 | 学校推薦型 I(共通テスト免除) | |
| 山形大学 | 工学部(システム創成工学科) | 3名 | 総合型 I(共通テスト免除) | 2026年度新設 |
| 福島大学 | 共生システム理工学類 | 8名 | 総合型(合格者は共通テスト受験必須) | |
| 三重大学 | 工学部 総合工学科 電子情報工学コース | 8名 | 学校推薦型(推薦4・女子特別。共通テスト免除) | 2026年度に増員。2028年度にはさらに拡大予告 |
| 和歌山大学 | システム工学部 | 10名 | 学校推薦型(共通テスト免除) | |
| 島根大学 | 総合理工学部・材料エネルギー学部 | 計26名 | 学校推薦型 II(共通テスト課す) | 材料エネルギー学部は2024年度からの実績校 |
| 愛媛大学 | 理工学部(情報・人工知能・化学・生命科学系など) | 各学科1〜10名 | 総合型 II(共通テスト課す) | 2026年度新設 |
| 香川大学 | 創造工学部 | 15名 | 総合型 I(共通テスト免除) | |
| 熊本大学 | 情報融合学環 | 8名 | 学校推薦型 II(共通テスト課す) | 2024年度開始 |
| 長崎大学 | 情報データ科学部・工学部 | 計22名 | 学校推薦型 II(共通テスト課す) | |
| 佐賀大学 | 理工学部(半導体サイエンス・電気電子システム・機械知能・情報通信ほか) | 計15名 | 学校推薦型 I・総合型 II | 2026年度に対象学科を拡大 |
| 宮崎大学 | 工学部(6分野) | 計14名 | 学校推薦型 I | |
| 大分大学 | 理工学部(複数プログラム) | 計14名 | 学校推薦型 I・II(IIは共通テスト課す) | 早期導入校のひとつ |
| 琉球大学 | 工学部(機械・エネルギー環境・社会基盤デザイン) | 計20名 | 総合型 I・学校推薦型 II | 総合型と推薦型の両方に枠がある数少ない大学 |
| 北見工業大学 | 工学部(全コース) | 各コース2名 | 総合型(ユニット確定枠・女子特別枠) | 2024年度開始 |
| 室蘭工業大学 | 理工学部(創造工学科・システム理化学科) | 計15名 | 総合型 I・II |
このほか公立大学では、兵庫県立大学(工学部・学校推薦型 女子学生特別枠)、高知工科大学(理工学部・学校推薦型)、山陽小野田市立山口東京理科大学(工学部・学校推薦型)、公立小松大学(生産システム科学部・2026年度新設)が女子枠を実施しています。2027年度入試には横浜国立大学・静岡大学・九州大学が新規導入を予告しており、この流れはまだ続きます。
【私立大学】女子枠のある大学一覧(偏差値順・概算)
| 大学名 | 学部・学科 | 募集人数 | 選抜方式 | 開始年度・備考 |
|---|---|---|---|---|
| 青山学院大学 | 理工学部(物理科学・電気電子工学・機械創造工学・情報テクノロジー) | 計20名 | 総合型(理工系女子特別) | 2026年度新設。MARCH校の参入として大きな話題に |
| 東京理科大学 | 工学部 | 48名 | 総合型(女子枠) | 2024年度開始。導入当初は志願者が募集を下回る年もあり、情報を知っている人にとっては狙い目だった |
| 芝浦工業大学 | 工学部・システム理工学部・デザイン工学部ほか | 各学科数名 | 公募制推薦(女子枠) | 2018年度開始の先駆け。女子入学者への奨学金制度も併設 |
| 東北工業大学 | 工学部 | 46名(他入試との計) | 公募制推薦(女子特別) | |
| 麗澤大学 | 工学部 | 約5名 | 総合型(工学系女子生徒育成) | 文系総合大学が新設した工学部での女子枠 |
| 亜細亜大学 | 健康スポーツ科学部 | 3名 | 総合型(女性人材育成型) | 2026年度新設。理工系以外の女子枠として珍しい例 |
| 嘉悦大学 | 経営経済学部 | 85名(他入試との計) | 総合型(創立120周年記念女子特待生) | 文系学部での女子枠。理工系以外にも制度が広がる兆し |
| 石巻専修大学 | 理工学部 | 46名(他入試との計) | 学校推薦型(公募推薦 女子枠) | 2026年度新設 |
| 北海道科学大学 | 工学部 | 各学科数名 | 自己推薦型(女子特別枠) | |
| ものつくり大学 | 技能工芸学部 | 若干名 | 総合型(女子スカラシップ) | 奨学金と一体になった枠 |
このほか、久留米工業大学のように女子の受験料を免除する形で実質的な支援を行う大学も出てきています。制度の形は多様化しているので、志望校候補が決まったら「女子枠」だけでなく「女子 受験料免除」「女子 奨学金」でも検索してみてください。
女子枠についてよくいただく質問への回答
Q. 文系学部にも女子枠はありますか?
ほぼありません。女子枠は「女子比率が極端に低い分野の是正」が目的のため、現状は理工系学部が中心です。ただし例外もあります。嘉悦大学の経営経済学部、亜細亜大学の健康スポーツ科学部のように、文系・スポーツ系にも女子向けの特別枠が登場し始めています。また逆に、看護系学部など女子比率の高い分野では「男子枠」を設ける大学も出てきました。今後、文系での拡大も十分あり得る動きです。
Q. 一般入試と併願できますか?
制度上は可能な場合が多いですが、大きな注意点があります。女子枠の多くは総合型選抜か学校推薦型選抜で、私立大学では専願(合格したら必ず入学する)を条件にしているケースが少なくありません。専願の場合、合格すると一般入試での他大学受験という選択肢が実質的に消えます。国公立の場合は共通テストを課す形式が多く、一般選抜の準備と両立しやすい設計です。「専願かどうか」は募集要項で必ず確認してください。
Q. 浪人生も出願できますか?
大学によります。学校推薦型選抜はそもそも「高等学校長の推薦」が必要で、現役生のみ、あるいは既卒1年目まで、といった制限が設けられていることが多いです。総合型選抜でも出願資格に卒業後の年数条件がある場合があります。浪人生で女子枠を検討する場合は、志望校の募集要項の「出願資格」の欄を最初に確認するのが鉄則です。
Q. 入学後に「女子枠で入った人」として扱われることはありますか?
授業・単位・卒業要件といったカリキュラム上の区別は一切ありません。卒業証書に入試方式が書かれることもありません。自ら口を割らない限り女子枠なのか一般入試なのかはわからないシステムです。なので女子だから…と後ろ向きにみられることがあるとすればは特定の人ではなく女子全体にしてになる(なってしまう)でしょう。また芝浦工業大学や ものつくり大学のように、女子枠入学者向けの奨学金や入学金免除など、経済的な特典を用意している大学があります。企業のダイバーシティ採用との相性もよく、就職面履歴書に女子枠のことを記載する必要はないので女子枠入学が直接不利になる制度ではありません。具体的に女子枠が不利になるかどうかは本格導入されたのが2024年度入試以降であり、就職活動に到達している人がいないためわかりません。
Q. 女子枠のせいで男子の一般枠が減るのですか?
女子枠の多くは、既存の推薦型・総合型選抜の枠の一部を振り替える形で作られています。つまり影響を受けるのは主に一般選抜ではなく推薦・総合型の枠内で、一般選抜の募集人員が大きく減った例は確認されていません。もちろん大学ごとの運用は異なるため、気になる場合は前年と当年の募集要項で各方式の募集人員を見比べるのが確実です。
Q. 女子枠は本当に「狙い目」なのですか?
データ上は狙い目と言えます。認知がまだ低く、志願倍率は他の選抜方式より低めで、募集人数を下回る大学も存在します。ただし油断は禁物です。どの大学も「求める水準に達しない者は取らない」方針を明言しており、面接・小論文・口頭試問で理系への適性を厳しく見られます。倍率が低いことと、楽に受かることは別の話です。
Q. 女子枠の対策はいつから始めるべきですか?
総合型・学校推薦型は出願が秋に集中するため、志望理由書の作成や面接対策は夏までに着手するのが理想です。共通テストを課す方式では筆記対策も並走させる必要があります。通常の受験勉強に加えて書類と面接の準備が入るため、一人で抱えると計画が破綻しがち。ここが最も指導がものを言う部分です。
PingPointでできること
女子枠の対策で難しいのは、対策が「志望理由書」「小論文」「面接」「共通テストの筆記」という4つの異なる種類の準備を同時に回すことです。しかも大学ごとに評価の重点が違います。
PingPointの完全1対1指導では、まず生徒の志望分野と現状の学力を確認し、どの大学のどの選抜方式に照準を合わせるかを一緒に決めます。その上で、志望理由書の添削、小論文の書き方、面接の模擬練習、そして共通テスト対策の筆記指導まで、一人の講師が一貫して見ます。授業外の自習管理も含まれるため、「書類準備で筆記対策が止まった」という女子枠対策で最も多い失敗を防げます。
高校生コースは1教科あたり月額19,000円(税込)、1回2時間×月4回。全国どこからでも受講でき、1回60分の無料体験授業も受け付けています。「理系に進みたいけれど、自分に合う大学の探し方が分からない」という段階からの相談でも構いません。
まとめ:知っているだけで選択肢が増える制度です
女子枠は2024年度の15大学前後から、わずか2年で国公立38大学49学部へと拡大しました。京都大学・大阪大学・青山学院大学といった人気校の参入で、今後も広がりは続きます。志願倍率が低めの今は、制度の恩恵を受けやすい時期です。
一方で、専願条件の有無、浪人生の出願可否、共通テストの要不要といった条件は大学ごとにまったく異なります。一覧表で候補を絞ったら、必ず最新の募集要項で条件を確認してください。確認の仕方が分からない、対策の立て方を相談したいという方は、無料体験授業で一緒に整理しましょう。