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大学受験記事

MARCH文系の共通テスト利用ボーダーはなぜあんなに高いのか

MARCH文系の共通テスト利用ボーダーはなぜあんなに高いのか

一般入試なら偏差値60前後で勝負できる学部が、共通テスト利用になると得点率9割近い争いに化ける。共通テスト9割は偏差値60前後では取れない。MARCH文系の共テ利用を調べた受験生が最初にぶつかる、あの違和感の話をする。

河合塾などが公表するボーダーを見ると、MARCH文系の共テ利用はおおむね8割が入り口で、明治の上位学部あたりは9割近い水準になる年もある。900点満点なら790点前後。1科目の事故で終わる点数だ。共テ自体の平均点が5割前後で推移する試験だということを考えると、この要求水準は異様に見える。

だが、ここに謎はない。テストの仕組みを分解すれば、高くなるべくして高くなっていることがわかる。そして仕組みがわかれば、使い方も決まる。

あなたの対戦相手は、MARCH志望者ではない

共テ利用のボーダーが高い最大の理由はこれだ。この方式に出願している集団の正体を考えてみてほしい。

共テ利用は、個別試験を受けに行く必要がない。出願書類を出すだけで、受験料も一般方式より安く、1出願1万円台が相場だ。移動なし、追加対策なし、数千円の模試より少し高い程度の金額で合格の可能性が買える。この併願コストの低さが誰を呼び込むか。東大や一橋、早慶を第一志望にする層だ。彼らにとってMARCHの共テ利用は、2月の本命戦の前に滑り止めを紙一枚で確保できる便利な保険で、共テで8割5分から9割を取ることは彼らの計画では前提にすぎない。

あなたがMARCH志望としてこの方式に出願した瞬間、対戦相手はMARCH志望者ではなく、その上の層に切り替わる。ボーダーは大学の格ではなく、出願者の顔ぶれで決まる。ここを勘違いしたまま「出しておけば受かるかもしれない」と願書を出すのは、受験料の寄付に近い。

大学側もこの構造を織り込んでいる。共テ利用の合格者の多くは本命に受かれば入学しない。歩留まりが低い前提で募集枠自体が小さく設計されているから、少ない椅子を最上位層と奪い合う形になる。枠の小ささと客層の高さ。二重の理由でボーダーは吊り上がる。

科目数のパラドクス

面白いのはここからだ。同じ共テ利用でも、3科目型と5〜6科目型でボーダーがまるで違う。

直感的には、科目が少ないほうが楽に見える。実際は逆で、3科目型ほどボーダーは高く、多科目型は下がる。法政などでは3教科型が8割台なのに対し、多科目型は7割台半ばまで落ちる学部が見られる。年度や学部で変動はあるが、この傾向自体は安定している。

理由は単純で、3科目型は最上位層が「得意な3科目だけ」を切り出して出願できるからだ。国公立志望者は5教科を勉強しているが、そのうち最も点が出る3科目で勝負できるとなれば、提出される点数は当然高くなる。多科目型はそうはいかない。全科目の合計勝負になるため苦手科目が足を引っ張り、そもそも私立文系専願の受験生は科目が揃わず出願すらできない。競争者が構造的に減るぶん、ボーダーが下がる。

言ってしまえば、共テ利用の世界では「楽に見える方式ほど激戦、面倒な方式ほど空いている」。5教科を揃えている国公立併願者にとって、多科目型は数少ない狙い目になる。

出願の締切にも罠がある

もう一つ、事務的だが致命的な話をしておく。MARCHの共テ利用の前期は、多くの学部で共通テスト本番より前に出願が締め切られる。自己採点の結果を見てから出す、ができない。手応えではなく、直前期の実力の見積もりで出願を決めることになる。共テ後に出願できる後期型も存在するが、枠はさらに小さく、ボーダーはさらに上がるのが通例だ。出願計画は12月のうちに終えておく話であって、1月に考える話ではない。

使い方の結論

ここまでの構造から、共テ利用の正しい位置づけは自動的に決まる。

MARCHが第一志望なら、MARCHの共テ利用を合格手段として計画に組み込んではいけない。あれは上位層のための保険窓口だ。あなたの共テ利用の使い道は、日東駒専や成成明学クラスの安全校を1月中に確保して、2月の本命戦に個別対策を全振りすることにある。逆に国公立が本命で5教科が揃っているなら、MARCHの多科目型は検討する価値が十分にある。そして共テの得点率が安定して7割台半ばに届いていない段階なら、共テ利用の検討自体が時期尚早で、やるべきは出願研究ではなく基礎の完成だ。

ボーダーの高さは、裏を返せば一つの事実を示している。MARCHに入る現実的な正面玄関は、いまも一般入試の個別試験だということだ。共テ利用の数字に絶望する必要はない。あれはあなたの試験ではない。

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