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講師インタビュー

物理はセンス」は誤解です|図を描かない答案が伸びない理由

「授業の解説はわかる。典型問題も解ける。なのに模試で初見の問題が出ると、手が止まる」——物理の相談で最も多い。原因は才能でも演習量でもないとしたら、どこにあるのか。

今回は、PingPointで物理を担当する講師2名に、顔と名前を伏せる条件で取材しました。2人には別々に話を聞きました。

取材した講師

講師C早慶上理の理工系学部出身。数学と物理を担当。

講師DMARCHの理系学部出身。物理を担当。

いずれも学習塾akamon labで学んで難関大学に合格した卒業生。akamon labによる選抜と授業確認を経てPingPointの講師となり、担当生徒には原則固定でつく。

目次

  1. 「典型問題は解けるのに初見で崩れる」生徒に起きていること
  2. なぜ独学・映像授業ではその癖が直らないのか
  3. 図が命の物理を、オンラインで教えられるのか
  4. 授業はどう進むのか、微積物理は使うのか
  5. 月4回の授業以外の日はどう勉強するのか
  6. 指導が入り始めた生徒に表れる変化
  7. 講師によって教え方は変わらないのか
  8. 物理で伸び悩む受験生へのメッセージ
  9. 編集部あとがき

Q1. 「典型問題は解けるのに、初見の問題になると崩れる」物理で伸び悩む生徒

講師C答案を一枚見れば、だいたいわかります。図がないんです。物理は図が命の科目なのに、伸びていない生徒ほど図が適当か、そもそも描いていない。力学であれば、働く力を矢印で全部描き出すより先に、いきなり式を書き始めています。物理の解き方は本来、状況を図に起こす、登場する量を書き出す、使う法則を選んで立式する、という順番で決まっている。最初の2つを飛ばして3つ目から入るから、過去に見た形を思い出せる典型問題は解けても、思い出す元のない初見の問題では崩れるんです。

講師Dいわゆる「公式暗記」の状態ですね。ただ、公式を覚えること自体は悪くありません。問題文を読んで、合いそうな公式を頭の中から検索する——この解き方が悪いんです。公式は当てはめるものではなく、図に描いた状況から選ぶもの。ここが逆転したまま演習量を増やしても、「見たことのある問題」の在庫が増えるだけで、物理の力そのものは変わりません。

Q2. 独学や映像授業では、その癖はなぜ直らないのでしょう。

講師C映像授業の板書には、最初から完成された図が載っているからです。生徒はそれを写すことはできる。でも、白紙から自分の手で図を起こす訓練は、映像を何百時間見ても一度もできません。参考書の模範解答も同じです。正しい解き方を「見る」機会はあふれているのに、自分の答案に図がないという事実を指摘してくれる存在が、独学にはどこにもいない。

講師D解説には、正しい道順しか書かれていませんからね。生徒がバツをもらった本当の理由——図を省いた、力をひとつ見落とした、法則の適用条件を確かめなかった——は、どの解説にも載っていない。だから独学の生徒は、バツを「計算ミス」や「ひらめけなかった」で片付けてしまう。「物理はセンスの科目だ」という思い込みは、たいていこの誤処理の積み重ねから生まれます。実際にはセンスではなく、手順の問題です。

Q3. 物理は図やグラフ、現象のイメージが命の科目です。それをオンラインで教えられるのですか。

講師Cむしろ物理こそ、答案の写真が威力を発揮します。当塾では、解いた答案をLINEで撮影して送ってもらうことを全員にお願いしています。届いた一枚に、図を描いたか、力や量を拾い切れているか、どこで法則の選択を誤ったかが、そのまま残っている。口頭のやり取りで流れてしまう対面授業より、証拠が紙に残る分だけ癖の特定はしやすいと感じるくらいです。

講師D機材については、手元を映すカメラがあればベストで、タブレットの画面共有も有効です。ただ、どちらもなくても答案写真だけで指導は成立しますし、実際その形の生徒が一番多いです。あとは、数学同様授業の前に質問や答案をLINEで送っておいてもらうこと。こちらが分析を済ませた状態で始められるので、2時間の最初の1分から本題に入れます。図の描き方の矯正のように時間のかかる指導ほど、この事前準備が効いてきます。

Q4. 授業は具体的にどう進みますか。

講師C1回2時間、月4回が基本の枠です。授業は、こちらで用意したチェック問題を解いてもらうところから始めます。物理で見るのは、正解したかどうかより答案の手順です。図があるか、量を書き出しているか、法則の選び方は正しいか。物理には確立された指導方針があり、そこから逸脱したり脱線したりした場合は、すぐに元へ戻します。たとえ答えが合っていても、図を描いていなければ図から描き直してもらう。ここは一切妥協しません。正解した問題ほど、我流の成功体験として癖が固定されやすいからです。

講師D一方で、進め方そのものは柔軟です。個別指導ですから、定期テストや模試、入試が近ければそちらの対策に切り替えますし、「電磁気が崩壊しているから先にやりたい」という要望があれば順番を組み替えます。ちなみに電磁気で崩れる生徒の多くは、電磁気ではなく力学の手順が曖昧なまま進んだことが原因なので、必要ならためらわず力学まで戻ります。物理は積み上げの科目です。

——いわゆる「微積を使う物理」は教えますか。

講師C基本的には使いません。大学受験の物理は、微積分を持ち出さなくても解けるように作られているからです。ただし例外はあります。一部の難関大では、微積で処理したほうが解答時間を短縮できる問題が出ますし、志望校のレベルによっては、現象を理解するうえで微積があったほうがイメージしやすい場合もある。数学でも微積の理解が進んでおり、指導しても問題ないと判断した生徒には指導します。使うか使わないかを流派で決めるのではなく、その生徒の志望校にとって必要かどうかで決める、ということです。

Q5. 月4回の授業以外の日は、どう勉強すればいいですか。

講師C宿題の量と中身は、生徒ごとに設計します。図を描く習慣がまだ身についていない段階で大量の演習を渡しても、我流の反復練習になるだけです。癖を直している段階なのか、手順が入って演習量を積む段階なのか。そこに部活の忙しさや浪人生かどうかも掛け合わせて決めるので、全員一律の宿題は存在しません。

講師D授業のない日にわからない問題が出たら、LINEで送っておいてもらいます。回答は次回授業の冒頭でまとめて行うのが基本ですが、事前に届いていればこちらも準備して臨めるので、その場で即答するより深く扱えます。自宅学習をさらに細かく見てほしい場合は、別料金のサポートオプションも用意しています。教材は基本的にPingPointのオリジナルテキストで、使い慣れた市販の問題集があればそちらに合わせることもできます。オンライン指導では同じ教材が互いの手元にないと支障が出るため、必要に応じてこちらから購入をお願いすることがあります。

Q6. 指導が入り始めた生徒には、どんな変化が表れますか。

講師C点数より先に、答案が変わります。図が描かれるようになり、量が書き出され、途中式が最後まで残る。送られてくる答案写真を並べて見ると、変化は模試の成績表より早く、紙の上に表れます。ここまで来れば、得点はあとから追いついてきます。

講師Dもうひとつの変化は、バツの説明です。以前は「ケアレスミスでした」で終わっていた生徒が、「力をひとつ図に入れ忘れた」「法則の条件を確認しなかった」と、自分の言葉で原因を言えるようになる。これは物理がわかり始めた合図です。物理は図が命で、図を正しく描ければ誰でもできるようになる科目です。センスの有無で門前払いされる科目ではありません。

Q7. 別々に取材したのに、お二人の答えの要点が一致していました。講師によって教え方は変わらないのですか。

講師C変わりません。私たちは全員、生徒の立場でakamon labの授業を受けて難関大に合格した卒業生です。そのうえで、akamon labが「人に教えられる水準まで理解している」「講師の適性がある」と判断し、授業の進め方の確認まで済ませた人間だけが採用されています。物理の手順は、誰が教えても同じでなければむしろ困るものなので、答えが揃うのは偶然ではなく採用の仕組みの結果です。

講師Dそのぶん、合わせる相手は生徒です。理解の速さ、つまずいている単元、部活や学校との兼ね合い。ここは一人ひとり全部違うので徹底的に合わせます。導く先の手順はひとつ、そこへ至る道は生徒の数だけある、という考え方です。担当は原則固定なので、つかんだ癖を引き継ぎでリセットすることなく、入試まで見届けられます。

——校舎を構える塾より費用が抑えられているのも、仕組みの話でしょうか。

講師Cはい。オンライン専業なので、校舎の賃料や維持費という支出がそもそも存在しません。浮いた分が価格に反映されているだけで、指導の側を削ってはいません。

Q8. 最後に、いま物理で伸び悩んでいる受験生へメッセージをお願いします。

講師D図を省いている人は、楽をしているつもりかもしれません。でも実際は逆で、物理は図を描いたほうが楽なんです。図は遠回りに見えて、初見の問題に対する一番の近道です。そして入試物理は、ひらめきを競うコンテストではありません。決められた法則を、決められた手順で正しく運用できるかを測る試験で、正解は必ずひとつ。手順という型にはまることは、没個性ではなく合格のための技術です。

講師Cそして、自分の答案に図がないことには、自分では気づけません。本人にとっては、それが当たり前の光景だからです。独学で積み上げてきた人ほど、一度だけ自分の答案を誰かに見せてみてください。伸び悩みの原因は、式の左側の、図が描かれるはずだった余白に表れています。

編集部あとがき

別々に取材した2人の答えが揃った理由は、Q7にありました。同じ場所で学んで合格し、同じ基準で選ばれた講師が、生徒ごとの事情に合わせながら同じ手順へ導く。「物理はセンス」という思い込みを、仕組みで否定してみせるのがPingPointの物理指導です。

なお、体験授業は事前のご連絡の際に「やってほしいこと」を伝えていただければその内容で、特にご要望がなければ塾側で用意した内容で行います。始める時点の完成度は一人ひとり違うため、対応もそれぞれに合わせる形です。「初見の問題で崩れる原因を、図から見てほしい」という頼み方をしていただいても構いません。

答えは合っているのに、答案に図がない——心当たりはありませんか

PingPointは、学習塾akamon labの選抜を経た講師陣が、完全双方向の1対1で指導するオンライン個別指導塾です。物理のつまずきの相談から、体験授業でやってほしい内容のご要望まで、無料相談でお気軽にお聞かせください。全国どこからでも受講いただけます。

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