「公式は覚えた。授業の説明も、その場では分かる。でも、自分で問題を解こうとすると手が止まる」
物理の勉強で、こんな状態になっていませんか。解答を見れば知っている式ばかりなのに、テストでは思いつかない。頑張って覚えた分だけ、もどかしく感じると思います。
このとき見直したいのは、暗記量だけではありません。問題文から状況を読み取り、使える法則を選び、自分で式にするまでの過程です。
Q. 物理の公式は覚えたのに、問題が解けません。どうすればいいですか?
A. 「現象の整理」「公式の適用条件」「立式」のどこで止まっているかを確認し、その段階から練習し直しましょう。
- 現象の整理:何が、どのように動き、どんな力を受けているか。
- 適用条件:その公式や法則を、この場面で使える理由は何か。
- 立式:向き・基準・文字を決め、問題の状況を式で表せるか。
この記事では、大学受験のオンライン個別指導を行うPingPointが、物理のつまずきをどう確かめ、解ける状態へつなげるかを具体例とともにお伝えします。
公式を覚えることと、使えることの間には何がある?
例えば「F=ma」を覚えていても、Fに何を入れるかが分からなければ、問題は解けません。このFは、物体に働く力のうち一つを選んだものではなく、その物体に働く力の合力です。
重力だけを入れるのか、張力や摩擦力も考えるのか。どちら向きを正にするのか。式を書く前にも、判断することがあります。
公式を見て「知っている」と感じることと、問題に合わせて使えることは同じではありません。式を選んだ理由まで説明できるかが、一つの確認になります。
今まで覚えてきたことが無駄だったわけではありません。覚えた知識と問題の状況を、結び付ける練習が必要なのです。
物理で手が止まる原因を、3つの段階から確認する
1.現象の整理で止まる:何が起きているかを図にできない
問題を読んだ直後に公式を探し始めると、対象の物体や力の向きを整理しないまま計算に入ってしまうことがあります。
例えば、糸でつながれた二つの物体が出てくる問題。どちらの物体について考えているのかが曖昧だと、別の物体に働く力まで混ぜてしまいます。
- 答案で確かめること:考える対象が決まっているか。力の矢印と、速度や加速度の矢印を区別しているか。
- 自分への質問:「この力は、何が何に及ぼしている力?」と説明できるか。
- 練習の変え方:まずは一つの物体を取り出して図にし、働く力を確認する練習から始める。
きれいな図を描く必要はありません。四角や矢印でも、何を考えているかが自分に分かる図になっていることが大切です。
2.適用条件で止まる:知っている公式を当てはめてしまう
「速さを聞かれたからこの公式」「高さがあるからエネルギー保存」と、単語だけで式を決めていませんか。
単語は方針を考える手がかりになりますが、最後には条件の確認が必要です。例えば、等加速度運動の公式は、考える区間で加速度が一定であることを前提にしています。
- 答案で確かめること:公式の形だけでなく、使える条件を確認しているか。
- 自分への質問:「問題文のどの条件を根拠に、この式を使った?」と答えられるか。
- 練習の変え方:摩擦の有無など、条件を一つ変えた問題を比べ、同じ式が使えるか考える。
公式の横に「使える条件」を一言添えるだけでも、丸暗記のノートから、判断に使えるノートへ変えていけます。
3.立式で止まる:方針は分かるが、式にすると崩れる
「運動方程式を使う」と分かっていても、符号や力の成分を間違えることがあります。これは、公式を選べない場合とは分けて考えたいつまずきです。
- 答案で確かめること:正の向き、座標軸、位置エネルギーの基準、文字の意味が途中で変わっていないか。
- 自分への質問:式の各項が、図のどの力や量に対応しているか説明できるか。
- 練習の変え方:図と式を一つずつ対応させ、数値を代入する前に符号や単位を確認する。
立式が正しく、その後の変形や計算で止まっているなら、必要なのは計算面の補強です。物理の説明を最初から聞き直すより、分数・文字式・三角比などを絞って復習する方が合う場合もあります。
具体例:運動方程式とエネルギー、どちらを使えばいい?
式を選ぶときは、何を求めたいかと、どんな条件があるかを一緒に見ます。斜面を滑る物体で考えてみましょう。
例題の設定
質量mの物体を、固定されたまっすぐな斜面上で静かに放します。斜面の傾きはθ、下端までの高さの差はhです。
摩擦と空気抵抗を無視し、重力加速度の大きさをgとします。物体は回転せずに滑るものとします。
下端での速さなら、エネルギーで二つの状態を比べる
この設定では、重力と斜面からの垂直抗力が働きます。垂直抗力は移動方向と直角で仕事をしないため、重力による位置エネルギーと運動エネルギーの和が保存されます。
下端を位置エネルギーの基準にし、下端での速さをvとすると、次のように立式できます。
mgh = ½mv2
v = √(2gh)
ここで大事なのは、式そのものよりも、「出発時と下端を比べる」「この設定では力学的エネルギーが保存される」と判断できることです。
加速度なら、斜面に沿った力を考える
同じ問題でも、加速度を求めるなら、斜面に沿って下向きを正とし、その方向の運動方程式を立てる方法が直接的です。
ma = mg sin θ
a = g sin θ
重力を斜面方向に分解し、加速度と結び付けています。「速さなら必ずエネルギー」「加速度なら必ずこの形」と暗記するのではなく、求める量に届きやすい方針を選びます。
実際、この例の速さは、運動方程式と等加速度運動の関係式を組み合わせても求められます。正しい解き方が一つしかないとは限りません。
「摩擦あり」に変わったら、式を見直せる?
斜面が粗く、滑る物体に動摩擦力が働く場合、先ほどの「mgh=½mv2」をそのまま使うことはできません。摩擦によって力学的エネルギーが減る分を考える必要があります。
ただし、エネルギーの考え方自体が使えなくなるわけではありません。条件の変化に合わせて、仕事とエネルギーの関係を立て直すことが必要です。
解説を読んで終わらないための、3段階の復習
「解説を読めば分かる」が続くときは、解答の書き写しだけで復習を終えていないか確認してみてください。次の順番なら、自分に足りない部分を確かめやすくなります。
1.解説を見る前に、止まった場所を残す
「力の図が描けない」「保存則を使える理由が分からない」「式は立つが変形できない」など、一言で構いません。途中式や迷った図も消さずに残します。
2.解説を閉じて、方針から説明する
答えの数値を覚えているかではなく、「何に注目し、どの条件から、どの式を立てるか」を説明します。説明できない箇所だけ、解説に戻って確認しましょう。
3.日を空け、条件が少し違う問題で確かめる
同じ問題を直後に解けても、手順を覚えているだけかもしれません。翌日以降に解き直し、さらに初速度や摩擦の有無が違う類題でも判断できるか確認します。
復習の目標は、解答と同じ式を書くことだけではありません。その式を使う理由を、自分で判断できることです。
講師は答案のどこを見て、指導を変えるのか
個別指導で大切なのは、「不正解だった問題を解説する」だけで終わらないことです。本人の説明と答案を合わせ、どこから考え方がずれたかを確かめます。
例えば、斜面の問題で「ma=mg」と書いた答案があったとします。これだけで「三角比が苦手」と決めることはできません。
- 垂直抗力が図にない場合:力を受ける相手や接触の見方から確認します。
- 力は描けるが、軸が決まっていない場合:どの方向について運動方程式を書くかを整理します。
- 軸は決まっているが成分を出せない場合:図の角度と三角比の対応を確認します。
上記は指導の考え方を示すための例であり、特定の生徒の実績や体験談ではありません。
最初は計算の問題に見えても、話を聞くと力の捉え方に原因がある。逆に、説明は十分にできていて、式の処理だけを練習すればよい場合もあります。
見立てを確かめ、必要なところに戻る。この工程があると、分かっている内容を繰り返し聞く時間を減らし、今必要な練習に集中できます。
PingPointでは、オンラインで答案と考え方を確認します
PingPointは、講師とリアルタイムにやり取りする大学受験のオンライン個別指導塾です。物理では、「どんな条件で、なぜその式を使うか」を整理し、自力で使う演習につなげます。
担当は固定の講師です。授業を重ねながら、その生徒が止まりやすい箇所や、説明の伝わり方を把握していきます。
授業前:分からなかった答案を共有する
宿題や復習で困ったところは、授業前にLINEなどで共有します。正解に直したノートだけでなく、途中まで書いた答案が、つまずきを確認する手がかりになります。
「この問題が分かりません」に加えて、「図は描けたが式が立たない」と一言添えると、授業で確かめる点が明確になります。うまく説明できない場合は、その状態のまま相談してください。
授業中:式を書いた理由を聞き、必要な説明に戻る
画面越しでも、共有した答案について「この式は何を表している?」「どちら向きを正にした?」とやり取りできます。
講師の解説を聞いた後は、本人が図や式を使い直すことが大切です。説明を聞けば分かる状態と、一人で立式できる状態の差を確認します。
授業後:復習で再び止まったところを、次の指導につなげる
家庭で解き直して、また同じ箇所で止まったら、その過程を残してください。授業では通じた説明が、一人で使う段階まで届いていたかを見直す材料になります。
授業外の質問も受け付けています。自宅学習への支援をさらに厚くしたい場合は、別料金の自宅学習サポートについてご相談いただけます。
通塾が不要なので、学校や今の塾を続けながら、物理を補強したい方にも利用できます。全国から受講でき、物理1科目の受講についてもご相談いただけます。
物理の勉強でよくある質問
Q. 公式の暗記は必要ないのでしょうか?
A. 基本的な公式や法則を覚えることは必要です。そのうえで、文字の意味、使える条件、図との対応をセットにします。公式を知らない状態と、知っていても使えない状態では、必要な勉強が異なります。
Q. 解説を読めば分かるなら、難しい問題集へ進んでもいいですか?
A. まずは、今の教材の基本問題を解説なしで立式できるか確認しましょう。式を選ぶ理由を説明できない問題が多いなら、難度を上げる前に、その部分を補う方が学習を進めやすくなります。
Q. 物理は3か月でも立て直せますか?
A. 改善を目指すことはできますが、到達できる範囲は現在の理解度・志望校・学習時間によって変わります。公式の使い方に課題が集中している場合と、未習分野が多い場合では、計画を分ける必要があります。
残り時間が少ないときほど、模試や過去問の答案を使い、どこを優先して補うか決めましょう。「3か月あれば必ず完成する」と、一律に考えることはできません。
次の一問では、公式を書く前に三つ確認してみよう
公式を覚えたのに解けないとき、すぐに「自分には物理のセンスがない」と決める必要はありません。次の問題では、計算を始める前に次の三つを確認してみてください。
- 何を対象に、どの場面を考えているか。
- その式を使える条件は、どこにあるか。
- 式の各項は、図の何に対応しているか。
どこで答えられなくなったかが、次に勉強する場所の手がかりです。一人では判断しにくいときは、その答案を講師に見せてください。
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