今回の記事は、「共通テスト」の「物理」のレビューになります。
~全体概要のレビュー~
昨年のセンター試験の大問数は6問、問題数は20問でしたが、今年は大問数が4問であり、問題数は24問となりました。また、センター試験と異なり、全問必答形式となりました。昨年のセンター試験と比較して難化したと言われています。これは、教科書で習う物理の理論を応用出来るかどうかを問われる問題が出題されたからかと思われます。ダイヤモンドや蛍光灯等、身近に存在する物を題材とした、身近な物理現象の理解と考察力を求める問題が多くなりました。計算量は例年のセンター試験と比べ、多くはありませんので、時間が足りないという事は起こりづらいかと思われます。
~大問毎のレビュー~
第1問「小問集合」
(点数:25点、問題数:5問)
問1、問2は力学、問3は電磁気学、問4は波、問5は熱力学の問題が出題されました。例年と同様、試験全体の中でも特に基本的な理解を問う問題群です。問1は慣性力の理解を問う問題で、加速度して動く台車上に水槽が置かれ、台車の屋根にはおもりが吊り下げられており、水槽の水面、とおもりの傾きを問う問題でした。問2は滑車の問題で、力の存在を全て把握できているかを問う問題でした。問3は極板が平行に複数枚置かれ、電位が設定としてある時のどの極板間の点電荷に対しての静電気力が最も大きいかを問う問題でした。問4はドップラー効果や音の反射の理解を問う問題でした。問5は、ピストンが付いた円筒容器に閉じ込められた理想気体の等温変化と断熱変化についてp-Vグラフを基に比較する問題でした。
第2問「電磁気」
(点数:25点、問題数:8問)
AとB、小問2問で構成されています。問題Aは、抵抗とコンデンサーからなる直流回路が与えられ、スイッチを閉じた後、開いた後の電流やコンデンサーに蓄えられた電荷量を把握出来ているかを問う問題でした。問題Bは電磁誘導の問題で、磁場中にある金属レールに2本の導体棒が平行に一定距離を保って置かれ、誘導電流や導体棒の動きを論理的に把握出来るかを問われる問題でした。
第3問「波動、電磁気、原子」
(点数:30点、問題数:7問)
こちらもA、Bの小問2問で構成されています。問題Aでは、ダイヤモンドが輝く理由を物理の知識を用いて解明するような問題が出題されました。学習範囲としては「光の反射」であり、特に全反射、部分反射の理解が問われる問題等が出題されました。問題Bでは、蛍光灯が題材として扱われ、蛍光灯内の電子と水銀原子の運動、衝突の現象に対して理解が問われる問題が出題されました。
第4問「力学」
(点数:20点、問題数:4問)
力学の基本的な知識、理解全般を問われる問題が出題されました。キャッチボールをテーマとして、放物運動、物体の衝突、運動量保存則、エネルギー保存則に関連した問題が出題されました。問1は、放物線の形状と高低差から、ボールの速さと水平方向とのなす角の大小関係を問う問題であった。
~最後に~
学習内容の応用力を今まで以上に試す事を目的として、センター試験が廃止され、共通テストが開始された経緯を考えますと、今回の問題の、「ダイヤモンド」や「蛍光灯」等といった、教科書では見る事がない、見慣れない設定の問題が今後も出題される可能性があると考えられます。つまり、教科書で学んだ物理を身近な現象に応用できるかを問われるという事です。