「英検を持っていると大学受験で有利になる」と耳にしたことがある人は多いでしょう。しかし、本当に英検は大学合格を後押ししてくれる武器なのでしょうか?また、どのような受験生にとって有効で、どんな人には向かないのか、その仕組みを理解しておかないと、かえって受験勉強のバランスを崩してしまう可能性もあります。
この記事では、英検を大学受験に活用する際のメリットや注意点をわかりやすく整理しながら、どのような戦略で英検を取り入れるべきかを詳しく解説していきます。
英語力に自信のある高校生にとって、英検の取得は大きなアドバンテージになります。大学側は外部検定試験を積極的に評価しており、英検のスコアや級に応じて、さまざまな優遇措置を設けています。たとえば以下のような対応があります。
一方で、英検取得が必ずしもすべての受験生にとって有利に働くわけではありません。特に英語が不得手な生徒にとっては、かえって負担が増える可能性があります。
英検は2級以上になると、大学入試の英語と同等、もしくはそれ以上の語彙力・読解力を求められます。しかも出題形式が大学入試の共通テストや個別試験とは異なるため、専用の対策が必要になります。つまり、英語が苦手な人にとっては、「受験英語の勉強」に加えて「英検対策」の二重の負担を背負うことになりかねないのです。
それならば、共通テストや志望校の個別試験の英語対策に一本化した方が、限られた時間を効率的に使えるという考え方もあります。
大学入試は英語だけで決まるものではありません。たとえば、文系学部であれば国語や社会、理系学部なら数学や理科の得点も非常に重要です。英検取得を目指すあまり、英語学習に時間をかけすぎて他教科の準備が遅れてしまえば、総合点で合格ラインに届かないこともありえます。
そのため、英検対策を始めるなら、「英語が得意」「ある程度の学力が既にある」など、自分の学力状況とよく相談したうえで導入すべきです。
大学受験に活用するためには、最低でも2級以上の取得が目安になります。準2級レベルだと評価対象にならない大学も多いため、基本的には2級、もしくはより上の準1級の取得を目指すのがベストです。
英検の成績表には、合格・不合格だけでなく「CSEスコア」という指標が掲載されています。このスコアは、読む・聞く・書く・話すの4技能それぞれの力を数値化したもので、大学によっては合格級よりもスコア重視で評価するケースもあります。
たとえば「各技能で570点以上、合計2460点以上」といった基準をクリアしているかが出願条件になる大学もあります。このため、自分のスコアを定期的にチェックし、苦手な技能を強化していくことが重要です。
英検の合格自体は一生有効ですが、大学受験で利用する場合はスコアの「有効期限」が設けられていることがほとんどです。多くの大学では「出願時からさかのぼって2年以内に取得したスコアのみ有効」としています。
そのため、高校1年生のうちに英検2級や準1級に合格しても、受験のタイミングによってはスコアが無効になってしまう可能性もあります。英検を受ける際は、自分が受験する年度から逆算して、最適なタイミングでの受験計画を立てることが重要です。
大学ごとに英検の評価方法は異なりますが、いくつか代表的なケースを見てみましょう。
英検は、大学受験で確かに有効なツールのひとつです。しかし、それを最大限に活かせるかどうかは、自分の英語力や志望校の入試制度との相性に大きく左右されます。
「とにかく取得しておけば安心」という考えではなく、自分の得意・不得意、受験校の出願条件や加点制度、他教科とのバランスを踏まえた上で、「英検を使うかどうか」を慎重に判断することが重要です。
大学入試での成功は、正しい情報と的確な戦略の積み重ねによって築かれます。英検を味方につけるためには、まずその仕組みを理解し、自分に合った活用法を見つけましょう。
お問い合わせはこちら