指定校推薦は、一般入試とは異なり「いつ合否が決まるか」が二段階に分かれているのが特徴です。
「推薦枠が決まる時期」と「大学の合格が決まる時期」の2つのフェーズに分けて、全スケジュールと受験生がやるべきことを徹底的に解説します。
指定校推薦のプロセスは、主に高校内での選考(校内選考)と、大学への正式な出願・合格発表の2つの期間に分けられます。
| 決まること | 時期(目安) | 意味合い |
| 校内選考の結果(推薦枠の決定) | 9月下旬 | あなたがその推薦枠を利用して出願する「権利」を得たことを意味します。これが実質的な勝負の区切りとなります。 |
| 大学からの合格通知 | 11月下旬〜12月上旬 | 大学から正式に合否が通知され、入学が確定します(合格した場合、辞退はできません)。 |
| 期間 | 時期(目安) | スケジュールとプロセス | 受験生がやるべきことリスト |
| 第1段階:枠の公表と選考 | 7月〜9月中旬 | 1. 推薦枠の発表:大学から高校へ推薦枠の募集要項が届き、高校内で生徒に公表されます。 | ✅ 成績(評定平均)の確定:最終的な成績を確認する。 |
| 2. 生徒の希望受付:生徒は希望大学・学部を申請(志望理由書の提出を求められることも)。 | ✅ 志望理由書の骨子作成:なぜその大学・学部でなければならないかを明確にする。 | ||
| 9月下旬 | 3. 校内選考:高校側が、成績や生活態度、欠席日数などから大学への推薦候補者を選定します。 | ✅ 面接練習:校内選考のための模擬面接があれば積極的に参加する。 | |
| 4. 校内選考結果通知:生徒に推薦枠獲得が正式に伝えられます。事実上の合格権獲得です。 | ✅ 高校の先生との打ち合わせ:今後の出願準備について詳細を確認する。 | ||
| 第2段階:出願準備と提出 | 9月下旬〜10月中旬 | 5. 出願書類の作成:高校の先生の指導のもと、大学提出用の書類(志望理由書など)を作成・清書します。 | ✅ 志望理由書の最終チェック:熱意と論理性が両立しているか確認。 |
| 6. 調査書・推薦書の作成:高校側が調査書や推薦書を作成します。 | ✅ 検定料の振り込み:期日までに間違いのないよう振り込む。 | ||
| 10月下旬 | 7. 大学への出願:高校経由または生徒本人が、大学へ出願書類一式を郵送・提出します。 | ✅ 提出期限の厳守:書類の不備や郵送の遅れがないか、高校の先生と二重チェックする。 | |
| 第3段階:大学による選考 | 11月上旬〜中旬 | 8. 大学による選考:面接、小論文、口頭試問などが行われます。これは**「面接練習ではなく、正式な選考」**です。 | ✅ 大学別面接対策:アドミッションポリシーや学部の研究内容を深く理解し、志望理由を再構築する。 |
| 9. 選考結果の最終審議:大学側で最終的な合否が決定されます。 | ✅ (一般入試の勉強を継続):推薦で不合格になる可能性は低いものの、念のため継続。 | ||
| 第4段階:合格確定 | 11月下旬〜12月上旬 | 10. 合格発表:大学から正式に**「合格通知」**が届きます。 | ✅ 高校への報告:高校の先生に合否を報告する。 |
| 12月 | 11. 入学手続き:入学金や学費の納入、誓約書の提出などを行います。 | ✅ 入学金・学費の納入:期限に遅れないよう速やかに納入する。 |
指定校推薦は一般入試よりも早く合格を手にできますが、独自のルールがあります。
指定校推薦は、大学と高校の間で築かれた信頼関係に基づく制度です。合格した場合、原則として入学を辞退することはできません。
もし辞退した場合、高校はその大学からの推薦枠を翌年以降もらえなくなるなど、後輩に多大な影響を与えることになります。
大学側は、高校が推薦してきた学生を不合格にすることは極めて稀です。選考(面接や小論文)は形式的なものであり、高校内で推薦候補者として選ばれた時点(9月下旬)で、合格がほぼ決まったと見て問題ありません。
そのため、最も力を入れるべきは、評定平均を上げる努力と、校内選考に向けた志望理由書の準備です。
無事に指定校推薦で合格・入学した後も、あなたは高校の代表として大学に入学したという意識を持つ必要があります。学業を疎かにしたり、問題行動を起こしたりすると、それが高校の信頼を損ね、将来的に推薦枠がなくなる可能性につながります。
合格後も気を緩めず、大学で学ぶ意欲と姿勢を維持することが大切です。