共通テスト数学ⅠA 高得点対策
受験勉強が長期戦になるほど、点につながる「本質」をつかむことが大事です。ここでは、出題傾向の要点から単元別の実戦対策、二次・私大とのクセの違い、読解と時間配分の鍛え方、過去問の使い倒し方まで、得点を伸ばすために必要なことだけを体系的にまとめます。
出題傾向と高得点のための基礎戦略
- 基本情報の要点: 数学ⅠAは試験時間70分・配点100点・大問5構成。第1問・第2問は必答、残り(第3〜5問)は選択で2題解くのが一般的です。最終設問ほど難度が上がりがちで、必答の迅速処理で選択に時間を残すのが鉄則です。
- 問われる力の本質: 知識そのものより「文章・図表から情報を抽出し、一般化して処理する力」や会話形式・実生活設定への適応が重視されます。思考・判断・表現まで含む枠組み化が鍵で、単純暗記依存では伸びにくい試験設計です。
- 戦略の骨子:
- 必答の高速安定化: 第1・第2問で落とさない。途中式付きで最短ルート化する練習を継続。
- 選択の事前方針: 得点効率の高い2分野をあらかじめ決め、本番は即座に絞り込み。
- “迷いを減らす”設計: 時短は処理速度より分岐判断の早さ。設問構造の俯瞰→図の即作成→選択肢逆算の順で迷いを削る。
単元別の具体知識・形式・高得点対策
数と式
- 出題のされ方: 因数分解・平方完成・分数式の整理・絶対値処理・符号や定義域の確認など、式変形の精度と速度が直得点につながります。必答パートでの基礎演算の安定が重要です。
- 高得点の対策:
- 計算ショートルート: 展開・因数分解の定型を最短化。例えば二次式は即座に頂点形式へ(平方完成)に変換できるよう訓練。
- 途中式設計: “検算可能な最短ルート”を日常練習で構築し、過度な省略を避ける。
集合と命題
- 出題のされ方: 集合演算・ベン図・命題の真偽(含意・逆・裏・逆裏)などを、文章設定で扱うことが多く、与件の構造化が勝負です。
- 高得点の対策:
- 図示で可視化: 与件は即ベン図・表に落として整理。
- 論理操作の即応: 命題の否定・逆の生成をパターン化して迷いをゼロに。
二次関数
- 出題のされ方: グラフの読解、最大最小、軸・頂点、交点の因数分解、範囲指定の変域などが定番。会話・探究調の文脈で段階的に処理させる構成が多いです。
- 高得点の対策:
- 図示: 設定を見たら簡易グラフを直ちに描き、条件をマーキング。
- 平方完成の無意識化: 頂点形式化を反射レベルに落とす。
データの分析(統計)
- 出題のされ方: 平均・中央値・分散・標準偏差、箱ひげ図・ヒストグラムの読解、相関・回帰の基礎。表や図からの値抽出の正確さが時短に直結します。
- 高得点の対策:
- 定義活用の簡便化: 分散の展開公式などを使い、計算過程の“手数”を削減。
- 読み取りの型: 図表は目的値に直結するセル・区間だけを拾う“視線ルート”を練習。
図形と計量(三角比、正弦・余弦定理)
- 出題のされ方: 三角比の数値処理だけでなく、正弦・余弦定理で長さ・角・面積を連鎖的に求める実用文脈が増加。空間・平面の構造理解が要ります。
- 高得点の対策:
- 手書き図の即作成: 問題を読んだら数十秒で“使える図”を作り、既知情報を色・記号でマーキング。
- 補助線: 角の二等分・高・中線・円の性質連携など、汎用補助線を定着。
図形の性質
- 出題のされ方: 合同・相似、円周角・接弦定理、面積比など。長文設定で条件が分散し、設問段階ごとに目的が変わるタイプが多いです。
- 高得点の対策:
- 段落分解→図反映: 文の“与件→導出→目的”を箇条化し、図に逐次反映。
- 比の即運用: 相似比から長さ・面積への伝播を一手で結ぶ練習。
確率
- 出題のされ方: 場合分けの整理、加法・乗法、条件付き確率、期待値などを段階的に誘導。表・樹形図・数直線などの整理図法が強力です。
- 高得点の対策:
- 構造化の習慣: まず事象を表か樹形図に落とす。条件付きは分母事象の確定→比で処理。
- 期待値の分解: “起こり方×得点”の総和へ即還元する癖付け。
クセの違いの比較と学習アプローチ
出題のクセ比較表
| 試験種別 |
要求される能力 |
難易度の質 |
形式・設計 |
時間配分感覚 |
出題範囲の深さ |
| 共通テスト(ⅠA) |
読解・情報整理・実用文脈での運用 |
幅広く中難度+最終設問難化 |
会話・探究・選択肢誘導 |
迷い削減が最重要 |
広く浅めだが複合 |
| 国公立二次 |
論証・発想・記述の厳密性 |
深い思考・独創性 |
記述・証明・誘導薄め |
問題ごとに粘る |
深く狭く(難問あり) |
| 私大一般 |
大学色の技巧・計算量 |
パターン・スピード勝負が多い |
マーク/記述混在・独自形式 |
処理速度と見極め |
大学別に偏り強い |
学習アプローチの違い
- 共通テスト向け:
- 読解の枠組み化: 長文・会話設定を「与件→モデル化→目的」に素早く変換。
- 選択戦略の先決: 自分の得点効率分野を固定し、本番は即絞り込み。
- 時短は“迷い削減”: 設問構造の俯瞰・選択肢逆算・手書き図の即作成で分岐を短縮。
- 国公立二次向け: 証明と記述の骨子作り、途中での方針転換の論理性、図形・数式の厳密連携を鍛える(論証の段階設計)。
- 私大向け: 出題校の過去問を軸に、計算パターン・設問形式・時間感覚の“大学特化”訓練。処理量対応の反復。
読解訓練・設問意図把握・時間配分の最適化
- 設問意図の見極め:
- 指示語解析: 「最も適切」「一意」「存在」などの語で、選択肢逆算・反例構成・式決定のどれが主眼か即判断。
- 選択肢逆算: 選択肢の形から必要条件を逆に当て、計算負荷を軽くする。
- 時間配分の実務:
- 第1(0〜10分): 第1・第2問の安全確保。途中式を残しつつ最短ルート化。
- 第2(〜55分): 選択の2題に集中。解きやすい→中程度→難問の順で配分。1問に固執しない。
- 第3(〜70分): 見直し・塗り間違い・端点・単位チェック。仮のリミットを設けて時間感覚を可視化。
過去問・予想問題の使い方とステップアップ戦略
- 段階的活用フロー:
- 基礎期: 分野別の標準問題で“途中式付き最短ルート”を作る(標準問題精講などの定番教材)。
- 実戦慣れ期: 過去問を時間無制限で“構造の読み方”に集中→解説で処理の型をノート化。
- 直前期: 本番時間で通し練習、選択方針と見極めの固定、ミスの分類(知識・読解・計算)→再学習ループ。
- 時短テク集の導入:
- 途中式付き最短化: 展開しない、因数分解で止める、平方完成へ直行などの“ルール化”。
- 図形は即手書き: 問題文→図の作成→マーキング→定理適用の順を固定し、迷いを消す。
- 選択問題の絞り込み: 本番は即決、練習時も“自分の2分野”で反復して勝率を上げる。
実践プラン(8〜10週間)
フェーズ1(Weeks 1–3):基礎定着と時短の型づくり
- 狙い: 標準問題を使って、途中式付き最短ルートの共通化。
- メニュー:
- 計算力: 因数分解・平方完成・分数式を毎日15分。
- 読解: 長文・会話形式をGQANメモで“構造読み”。
- 図形: 毎問“手書き図→マーキング→定理”の固定ルーチン。
フェーズ2(Weeks 4–6):過去問で構造読解を強化
- 狙い: 迷いを減らす判断速度の向上。
- メニュー:
- 時間無制限過去問: 設問構造図を作り、逆算の可否をチェック。
- ミス分類ノート: 知識・読解・計算で色分け、週次で改善サイクル。
- 選択分野固定: 本番想定の2分野に集中演習。
フェーズ3(Weeks 7–10):本番フォーマット適応
- 狙い: 70分の時間感覚を体に入れる。
- メニュー:
- 通し演習(週2–3回): 0–10分で必答確保→55分まで選択2題→残り見直し。
- 時短テク復習: 最短ルート・逆算・図即作成の3本柱を毎回振り返り。
- 選択即決訓練: 開始1分で選択題の当たりを決める癖付け。
直前チェックリスト
- 必答の安定: 第1・第2問の“安全ルート”が言語化されているか。
- 選択の即決: 自分の2分野を固定し、迷いゼロの開始手順を持つ。
- 図形の作法: 手書き図→マーキング→定理の順序が反射になっている。
- 逆算癖: 選択肢から必要条件を引き、計算負荷を下げられる。
- 時間感覚: 仮リミット設定で、難設問に“粘り過ぎない”設計がある。
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| 学年 |
料金 |
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各教科1コマ(1回2時間/月4回) 19,000円 |
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