共通テスト「生物」の出題内容と対策について
共通テスト「生物」は、大学入学共通テストの一科目として、知識の正確な理解と思考力が求められる試験です。その特徴や傾向、対策方法について解説します。
試験概要:時間と配点
共通テスト「生物」の試験時間は60分、配点は100点です。試験は6つの大問で構成され、小問数はおおよそ27~28題となっています。各大問の配点や小問数にはばらつきがあり、12点から22点程度の範囲で異なるため、解答の際の時間配分が重要です。
たとえば、配点が20点の大問なら全体の1/5に当たるため、12分程度で解くことを目安にします。配点が12点の大問では7~8分程度を目安にするなど、配点に応じた時間管理が有効です。
出題傾向
1. 分野横断的な問題 共通テストの「生物」は従来のセンター試験と異なり、多くの大問が分野横断的に構成されています。たとえば、植物の発生に関する基礎知識が問われる問題の中に、生態系のエネルギー流動のデータを解釈させる要素が含まれるなど、一つの分野に留まらない出題が特徴です。
2. 実験考察問題の割合 最大の特徴は、実験考察問題が全体の多くを占める点です。知識問題と考察問題の割合は概ね1:2で、知識だけでなくデータを読み解く力や論理的に考察する力が求められます。
3. 知識・考察の融合問題 知識問題であっても図やグラフの読み取りを必要とする場合があり、考察問題では基礎知識が前提となることも多いです。このような知識と考察を組み合わせた問題が頻出します。
具体的な分野別の特徴
- 遺伝計算
- 遺伝子発現の調節や細胞周期について問われる問題が見られます。基礎的な知識の確認だけでなく、それをもとにした考察が必要です。
- 遺伝計算は物理や化学の計算問題ほど複雑ではありませんが、問題集や参考書を活用して解き方を確実に身につけることが重要です。
- 動物・植物の発生
- 動物や植物の発生に関する問題では、各因子の役割を理解することが求められます。図や表を正しく読み取る力を養うことが必要です。
- 特に植物の模式図への慣れは重要です。
- 個体群・生態系
- 考察型の出題が多い分野です。ニュースや時事問題を題材にした設問も見られるため、社会的なトピックへの関心を持つことも有効です。
- 進化と系統
- 遺伝子型頻度や塩基置換の速度など、与えられたデータを基にした問題が多く出題されます。系統樹や地層形成の年代を考察させる設問も頻出です。
共通テスト「生物」の攻略法
1. 基本知識の正確な理解 基本知識の理解がすべての土台です。ただ丸暗記するのではなく、各現象を自分なりに説明できるレベルを目指しましょう。たとえば、「植物の光周性」に関する知識を学ぶ際は、その仕組みを図解して説明できるかを確認します。
2. データを読み解く力の養成 共通テストでは、複雑な計算問題は少なく、グラフや表を読み取る能力が求められます。傾向を正しく把握する練習を日々の演習で行いましょう。
3. 実験考察問題への対応 教科書や参考書に掲載されている実験例を活用し、それぞれのテーマを深く理解します。また、演習の際には「考察ノート」を作成し、思考過程を記録して整理することをお勧めします。
効果的な勉強法
- 教科書・問題集の活用
- 基本的な知識は教科書を活用してしっかり押さえます。問題集では解説を熟読し、自分で納得するまで考え抜く姿勢が重要です。
- 復習の徹底
- 演習をこなすだけで満足せず、復習に時間をかけましょう。問題を解き直し、なぜその答えになるのかを再度考察することで、思考力が磨かれます。
- 過去問の活用
- センター試験の過去問は知識問題と考察問題のバランスが異なりますが、知識の確認や考察力の訓練に非常に有用です。積極的に取り組みましょう。
注意点
- 形式に慣れるだけの勉強はNG
- 共通テスト形式の問題ばかり解き、形式に慣れることを優先する勉強法は避けましょう。知識が不足していると、どんな形式でも正解にたどり着けません。
- 思考力に依存しすぎない
- 思考力重視の出題傾向を意識するあまり、基礎的な勉強をおろそかにしてはいけません。用語や現象の正確な理解が土台にあることを忘れないようにしましょう。
おすすめの学習法
- 分野ごとの整理
- 分野ごとに出題傾向を把握し、それに合わせた対策を行います。たとえば、発生や遺伝では模式図を活用し、環境応答では実験データの解釈に重点を置きましょう。
- 自習用ノートの活用
- 演習時に出題のテーマや自分の解答過程を記録したノートを作成します。解答に至るまでの道筋を整理することで、論理的思考力が養われます。
共通テスト「生物」は基礎力と考察力をバランスよく問う試験です。基礎をしっかり固め、実験データの解釈や分野横断的な考え方に慣れることで、高得点を狙うことができます。時間を効率的に使い、地道な努力を続けることが成功への鍵です。