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大学受験 コラム

偏差値が高い大学がいい大学ではない?偏差値の決定方法とは

大学の偏差値マジックにとらわれるな!偏差値に頼らない正しい大学の決め方

「どこの大学に行きたい?」と聞かれたとき、多くの受験生が真っ先に思い浮かべるのが「偏差値」という数字ではないでしょうか。

大体の人が学校で受けさせられた模試と大学の偏差値表を照らし合わせて大学を知るというのが最初のステップになります。

しかし、その数字、本当に大学の実力を映し出しているのでしょうか。今回は、偏差値が動く仕組みと、その数字に隠された“からくり”についてお話しします。

高校生に漂う「偏差値が高い大学のほうが偉い」という空気感

最近、教育現場でもこんな声がよく聞かれるようになりました。

「○○大のほうが偏差値が高いから、昔から有名なあの大学よりこっちに進学したい」

進路指導の場でも、保護者との面談でも、偏差値表を片手に大学を比較する光景は珍しくありません。たしかに、客観的な数値は安心感を与えてくれます。難しい大学に入れたほうが、なんとなく将来の選択肢が広がりそうな気がしますよね。

ただ、ここで一度立ち止まって考えてみたいのです。その「偏差値」という数字は、いったい何をもとに、どうやって決まっているのでしょうか。仕組みを知らないまま数字だけを追いかけてしまうと、思わぬ落とし穴にはまることがあります。

偏差値の正しい見方を知らないと大学進学後に後悔するかも

偏差値の高い○○大学に進学したから周りも優秀だと思っていたらほとんど推薦入学で拍子抜け

推薦入学は悪いことじゃないけど、なんだか張り合いがないなんてことも…

学生の意識はそのまま就職や大学院への進学差へと現れます

そもそも大学の偏差値は誰がどう決めているのか

世の中に出回っている「大学の偏差値ランキング」は、文部科学省などの公的機関がが公式に発表しているものではありません。実は、大手予備校が実施している模試の結果をもとに、各予備校が独自に算出している数値なのです。

そのため、予備校によって偏差値は異なります。

具体的には、こんな流れで作られています。

  • 予備校が全国規模の模試を実施する
  • 受験生が志望校を記入し、後日その大学に出願・受験する
  • 「合格した受験生」「不合格だった受験生」の模試成績を集計する
  • 学部・学科・入試方式ごとに、合格者の偏差値分布を整理する
  • そこから「合格可能性50%ライン」などを算出し、大学の偏差値として公表する

つまり、大学の偏差値とは「その大学に合格した人たちが、模試でどのくらいの成績を取っていたか」の集計結果ということになります。大学そのものの教育の質や研究力を測ったものではない、というのが大事なポイントです。

偏差値そのものの基本もおさらい

偏差値は「平均50・標準偏差10」に変換した相対的な指標です。計算式にすると、

偏差値 = 50 + 10 ×(得点 − 平均点)÷ 標準偏差

平均点と同じなら50、平均より高ければ50を超え、低ければ50を下回るというシンプルな仕組みになっています。あくまで「その模試を受けた集団のなかで、自分はどの位置にいるか」を表しているだけで、絶対的な学力を示しているわけではないのですね。

一般枠が減ると「合格ライン偏差値」はどう動くのか

ここからが本題です。なぜ「推薦枠を増やして一般枠を減らすと偏差値が上がる」と言われるのか、その理屈をひもといてみましょう。

先ほど確認した通り、偏差値表に載っている数字は「一般入試で合格した人たちの模試成績」をもとに作られています。この合格者の集団が、どんな顔ぶれになるかで数字は大きく変わってきます。

たとえば、ある学部で一般入試の定員を300人から100人に減らしたとします。すると、こんな現象が起こりやすくなります。

  • 受験者数があまり変わらなければ、合格倍率が跳ね上がる
  • 上位の成績の受験生から順に合格していくため、合格最低ラインが押し上げられる
  • 結果として、合格者の模試偏差値の平均値が高い水準に集まりやすい
  • 予備校が公表する「合格可能性50%偏差値」も、それに合わせて上がっていく

もちろん、偏差値は受験者全体の得点分布や倍率によっても動くので、「定員を絞れば必ず偏差値が上がる」と単純化できるものではありません。受験生のレベルそのものが下がれば数字は伸び悩みますし、極端に倍率が上がれば敬遠されることもあります。

それでも、一般枠を絞り込めば「合格ライン偏差値」は上がりやすいというのは、入試の構造を考えれば自然な流れです。狭き門になるほど、突破できる人の偏差値は高くなる。シンプルな話なのですね。

私立大学に大きく差がつく「推薦枠」の中身

特にこの構造がはっきり表れるのが、私立大学の世界です。私立大学では、入学者の半数以上が推薦・総合型選抜などの「年内入試」で決まる大学も珍しくないと言われています。

しかも、推薦枠の中身は大学によって本当にさまざまです。

  • 付属高校・系列校からの内部進学枠を多く抱える大学
  • 指定校推薦を全国の高校に幅広く配り、安定した入学者を確保する大学
  • 総合型選抜(旧AO入試)や一芸入試で個性的な学生を集める大学
  • 公募推薦で一定の学力試験を課す大学

これらの枠を厚めに取れば取るほど、入学者の多くは年内に決まります。残った数少ない一般入試の席をめぐって、模試で高偏差値を出している受験生たちが激しく競い合う。その結果、表向きの「偏差値」だけは年々上がっていく、という構図が生まれやすいのです。

同じ偏差値帯に並んでいる二つの大学でも、一方は一般入試の比率が高く、もう一方は推薦中心、という違いがあれば、その数字の意味するところはまったく別物になります。

なぜ大学は「偏差値」を気にするのか

少し意地悪な見方をすれば、偏差値の高さは大学にとって生命線でもあります。

高校生のほとんどは、ここまで述べてきたような偏差値の仕組みを詳しくは知りません。高校生をバカにしているわけではなく、学校の授業で「偏差値はこうやって決まりますよ」と教わる機会はほぼないから当然のことなのです。

もちろん一部の学校でHRの時間などに担任がそういう話をしてくれる機会のある学校はあるでしょう。ただ教育指導要領に含まれていませんし、そもそも偏差値がいい学校に行けという国の方針でもないため、なんとなく偏差値というものが頭でっかちになり、独り歩きしやすいのです。

そうなると、進路選びの場面で起こるのは、

  • 偏差値表を上から眺めて、入れそうな範囲で大学を探す
  • 同じような分野なら、少しでも偏差値の高い大学を選ぶ
  • 偏差値が高い=レベルの高い大学、という前提で話が進む

という、ごく自然な行動パターンです。志望者が増えれば、大学側もブランド力を維持しやすくなります。逆に偏差値が下がってしまうと、志望者が減り、さらに偏差値が下がる、という悪循環に陥りかねません。

だからこそ、入試方式の設計は、各大学にとって戦略的なテーマになっているわけですね。これは大学を責めたい話というより、「数字を読むときには背景もセットで知っておきたい」という確認の話だと思っていただければと思います。

偏差値が高い=いい大学、とは限らない

ここまで見てくると、偏差値という数字との付き合い方が少し変わってくるのではないでしょうか。

偏差値表で上のほうにある大学が、必ずしも教育の中身や卒業後の手応えで優れているわけではありません。あくまで「一般入試の合格者の模試成績の平均的な位置」を示しているにすぎず、

  • 大学全体の教育レベル
  • 研究や設備の充実度
  • 卒業生の社会的な評価
  • 学部・学科ごとの専門性
  • 自分との相性や学びたい内容

といった要素を、偏差値だけで判断することはできません。同じ大学のなかでも、学部によって雰囲気もカリキュラムもまったく違うことは珍しくないですよね。

「偏差値表の上から順に良い大学」という見立ては、便利ではあるけれど、思っている以上に粗い物差しでもあります。数字に振り回されすぎると、本当は自分に合っていた大学を、知らないうちに候補から外してしまう、ということも起こり得ます。

おわりに:数字の“向こう側”まで見てみる

偏差値は、現在地を知るうえでとても役に立つ便利な道具です。模試の結果を読み解いたり、志望校との距離感をつかんだりするうえで、無視するのはもったいない情報でもあります。

ただ、その数字がどんな仕組みで作られているのかを知っておくだけで、大学選びの景色は少し変わって見えてきます。「偏差値が高いから良い大学」ではなく、「なぜこの大学は、この偏差値になっているのか」と一歩踏み込んで眺めてみる。それだけで、志望校選びの解像度はぐっと上がっていくはずです。

数字の向こう側にある、それぞれの大学の本当の姿を、あせらずじっくり見つめてみてくださいね。


参考文献

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